旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「吉岡ちゃん……」

 腕を取られ、反射的に身体が小さく跳ねた。

「……帰ろう。タクシー呼んで荷物取ってくるから、絶対にここから動かないでね」

 返事をする暇もなく長谷川さんはお店に入り、そして驚く早さで戻ってきた。

「皆にはうまく言っておいたから安心して。タクシーもすぐ来るから待っててね」

「すみません。ありがとうございます」

「いいよこれくらい。それにしても意味分かんねえなぁ。ふたりは両想いなんでしょ? ちゃんと意思疎通できてないんじゃない?」

「……いえ。私の気持ち、まだ伝えていないんです」

「ええ!? じゃあまだ付き合ってないってこと!?」

「はい」

「なんじゃそりゃ!」

 長谷川さんの陽気な性格のおかげで、暗くなっていた場の雰囲気が軽くなる。

 すごいな。長谷川さんは自分自身も周りの人間も、明るく照らせることができる。

 やってきたタクシーに乗り込んですぐに、長谷川さんが運転手に行き先を告げる。

「フローリデホテルまでお願いします」

「え!?」

 フローリデホテルは有名なシティホテルだ。どうしてそんなところに!?

 目を剥くと、「しっ!」と人差し指を立てながら何故か叱られた。
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