旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「……成暁さんに幻滅されないように、もっと大人になるので、それまでもう少し待っていてもらえませんか」

 俺を見つめる瞳は不安げに揺れていて、内心喜んでいる身としては申し訳なくなる。

 ここで俺も同じように嫉妬することがあると伝えてあげられたら、彼女も安心するだろう。でもそれはできない。俺だって大人の男を演じたいから。

「香澄がそうしたいって言うならいつまでも待つけど、でもどっちにしろ俺には香澄が必要だし、こんなに好きなんだから幻滅なんてしようがないよ」

 カッコつけて言うと、香澄はぱっと顔を逸らした。その横顔はみるみる上気していく。

 あまりの可愛らしい反応に耐えられそうにない。

「やっぱりこの場でキスさせてくれない?」

 そう聞くと、「もうっ!」と怒られてしまった。


 香澄を精神的に疲れさせてしまっては意味がないので、街でぶらつくのはほどほどにして、早めにホテルへ向かった。

 眺めのいい客室でのんびりと過ごし、夜はホテルレストランで食事を済ませ、今朝香澄が言っていた通り、ゆっくり過ごせる時間を早めに確保することに成功した。

 シャワーを済ませ、お互いリラックスした姿でソファに座る。

「なにか飲みますか?」

 問いかけには答えず、隠し持っていた箱を香澄の目の前に差し出した。
< 179 / 180 >

この作品をシェア

pagetop