旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
歩道もなく道幅が狭い道路を右に曲がって、車一台しか通れない砂利道に侵入する。ここからは幸泉陶器の敷地だ。入り口が狭いわりに、奥まった場所にある敷地は広い。
向かって右手に製陶所、左手に二階建ての、ごく普通の木造一軒家が建てられている。
昭和の匂いが漂う、古い製陶所の窓から明かりが漏れていたので、建物の前に自転車を停めて、中に人がいないかどうかを確認した。
まだ叔父さんが残って作業している場合、そのまま手伝いをすることがほとんどだからだ。
今日は窯が稼働しているので、明かりをつけたままにしているようだ。
家の玄関を開けて、家中に響き渡るように大きな声を出して靴を脱ぐ。
「ただいまー」
すぐさまリビングから、「おかえりー」と叔母さんの声が返ってきた。
洗面所に直行して、手を入念に洗い、うがいをして、粘土片や塵や埃にまみれた服を全て脱ぐ。それからあらかじめ用意してある部屋着に着替えてリビングへと入る。これがいつもの流れだ。