旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 両親が亡くなったのも夕暮れ時だった。人の目が暗さの変化に慣れきっていない、一日の中でも交通事故が多発する時間帯。

 父が運転する車に信号無視の車が突っ込んできて、後部座席にいた私は奇跡的に助かったのだが、父と母は帰らぬ人となってしまった。

 今日はやけに両親のことを思い出す。きっと、久し振りに、他人に自分のことについて話したからだと思う。

 夕食をテーブルに運んで三人揃って席につき、「いただきます」と手を合わせた。食べはじめたばかりの箸を止めて、ふたりの顔を交互に見る。

「そういえば窯が動いていたけど、土日に窯起こしするの?」

 叔母さんがすぐに頷く。

「そうなるね」

「そっか。じゃあ手伝うね」

 幸泉陶器には社員とパートを含めて十人ほどの従業員がいるけど、基本土日休みだ。土曜である明日なら、叔父さんと叔母さんのふたりしかいない。
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