旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「なにを言ってるの!? 香澄ちゃんの晴れの日なんだから、綺麗にしたいと思うのは当然でしょう!?」

 叔母さんの剣幕に、叔父さんはばつが悪そうにして黙り込んでしまう。これには苦笑するしかなかった。

 そっか。明日か。

 お見合いに必要不可欠な写真や釣書もないけれど、逆に言えば、こちらも用意する手間が省けたのだからよかったのかもしれない。

 それに、あれこれ考えてやっぱり嫌だと思う前に、事を済ませてしまった方がいい。

 ベルカントホテルには宝来陶苑の直営店がある。お見合いが終わったら見て帰ろうかな。ラグジュアリーホテルだからご飯も美味しいだろうし。

「あっ。叔父さん甲殻類アレルギーあるよね? 先方に伝えて、食事のメニューを調整してもらわないと」

「おお、そうだった」

 叔父さんはすぐさま電話を折り返した。

 叔母さんが額と首筋に滲んだ汗をタオルで拭いながら、私の顔を覗き込む。
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