旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
ふたりからの視線を浴びながら通話を終えた叔父さんは、遠慮がちに私を見て、わざとらしく咳払いをした。
「さっきの見合いの話なんだが、明日になった」
「ええ!?」
私より先に叫んだのは叔母さんだった。
私は突然の展開に思考が追いついていない。
「着るものだって用意しなくちゃならないのに、そんな急に言われても困るでしょう?」
そう、その通りだ。
不安になって叔父さんを見つめる。
「全員分、向こうが手配してくれるらしい。場所はベルカントホテルで、時間は十一時から」
話を聞いた叔母さんが、私の頭のてっぺんからつま先まで凝視する。
「香澄ちゃんは美容院に行ったばかりだし、お肌は元々綺麗だし、大丈夫そうね。問題は私だわ。急いで白髪染めしなくちゃ」
「いや、典子(のりこ)はいいだろう」
叔父さんが真顔で言うと、叔母さんは憤慨した。