旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
窓外の流れる景色に視線を泳がせていると、成暁さんがぽつりと呟いた。
「明日は予定あるの?」
「ないですけど……」
「夕方の六時に迎えに行くから」
「え?」
唐突過ぎる彼からのお誘いに激しく混乱する。
これって断ったらダメなやつ?
返答に困っているうちに、タクシーは家の前に到着してしまった。
腕を掴まれて、支えられるようにして車から降りる。そこまで酔っていないと思っていたのに、時間差で酔いが回ってきたらしく足元がおぼつかない。
「玄関まで送っていこうか?」
「大丈夫です」
大袈裟なくらい顔の前で手を振ると、成暁さんはおかしそうに笑う。
「転ぶなよ。……じゃあまた明日。おやすみ」
「……はい。おやすみなさい」
成暁さんを乗せたタクシーは、あっという間に視界から消えてしまった。