秘密の隠し味
「えっ」


「怖かったでしょ...?大丈夫?」


「えっ...えっ....えええええ!!!!!!!!!」


その綺麗な顔立ちと少し変わったその声は


間違いなく....かおりちゃんだった


「あっ...もしかして僕のこと知ってる...?」


口を鯉みたいにぱくぱくしていたらその人は


私に向けて笑顔を放ってくれた


「あっ...あの....!!!!めちゃくちゃ....ファンです!!!」


さっきまでの恐怖心が一切無くなって伝えたい言葉がつらつら出てくる


「えっと...!高橋さんのデビュー公演からずっと追っかけてます!大好きです!!!」


どうしよう。今のままじゃただのキモいオタクだ


「そうなの!?えっ..嬉しいなぁ//」


え。むりかわいい尊い


「あっ!違う!大丈夫だった?」


はっと我に帰って先程のことを思い出す


「ほんとに...ありがとうございました...この後公演なのにどうしようって...人生終わったって思ってたので....」


そう言ったら何故か目の前の好きな人はぷっと吹き出した


「あははっ....!自分の心配より公演の心配してたの?」

「はい!!!!私があそこで捕まっていたら席が満員にならない!どうしようって....」


今、私好きな人と話してる....絶対この場にいないような人と....


「面白い子だね、でも自分の心配もしなきゃダメだよ!君可愛いんだから気をつけてね!」


か.....かわ....いい???私今推しに可愛いって言われてる????


「じゃあ...そろそろ戻んないと行けないからいくね!君も気をつけて向かってね!」


「はっ...はい!!!ありがとうございました!」


走って戻っていく後ろ姿をぼーっと見つめながら今起きたことを振り返った


「どうしよ...むり....。ほんとにすき.....」

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