彼と彼女の花いちもんめ~溺愛王子の包囲網~
声が聞きたくて
「もしもし、みちる?」
「あ、はい・・・お疲れ様」
「もう家帰った?」
「いま、駅前着いたところ」
「遅かったんだ?」
「南野さんほどじゃないから・・・いつも9時とかでしょ?」
「最近は結構遅いかな・・・この時間まで残業珍しいね」
「トモちゃんが、具合悪くなっちゃって、駅まで送ってきたの」
「ああ・・あの後輩の?」
「そう・・彼氏が駅前まで迎えに来てくれてて、お願いしてから帰って来たから」
「それで遅かったんだ」
「うん。いい人みたいで、安心した・・・しっかりしてそうだったし・・・トモちゃん、ちょっと抜けたとこがあるから、悪い男だったらどうしようって思ったんだけど・・・なに?なんで笑うの」
「え?いや・・・優しい先輩だなと思って」
「別に・・普通でしょ。後輩なんだし・・気になるの当然・・」
「もし、みちるが、具合悪くなったら、俺を呼べばいいよ」
「・・・あ、あたしは別に・・」
「俺がちゃんと家まで送ってあげるよ」
「何かあっても一人で帰りますっ」
「これまでは、そうかもしれないけど、これからは、俺を頼ってよ」
「・・・そ、そんな簡単に・・」
「甘えるの苦手?」
「・・・そういう・・わけじゃ・・・だって、ほんとに付き合ってるわけじゃないし」
「みちるが俺を嫌いにならない限り、付き合ってる事になるわけだけど」
「だ、だから・・あたしの気持ちが・・・」
「みちるは俺を好きになるよ」
「・・・なんで分かるの?」
「俺が、そうなって欲しいと思ってるから」
「・・・勝手に決めないで」
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