彼と彼女の花いちもんめ~意地悪王子の包囲網~
依子の事情
あたしには、女友達がいない。

当たり障りない人間関係を気付いてきた結果がこれだ。

本音でぶつかって、喧嘩して、悩み相談できる相手がいないのだ。

だから、悩みは自分で解決するしかない。



「仁科さん、その後どうよ?」

日報を綴じる最中に先輩から呼ばれて、あたしは首を傾げた。

「えっと・・・至っていつも通りですが?」

「そうじゃないわよー!」

「え?」

「柿谷さんの事よ!」

「あ、先輩ずるい!あたしも聞きたかったんですっ!」

松井さんと一緒になって、先日合コンに参加した今村さんまで身を乗り出して来る。
あの合コンの後、松井さんと工藤さんは二軒目に飲みに行って、あっさり纏まったらしい。
そのせいもあって、こちらの様子が気になるのか。

「・・・ど、どうもしてないです」

「え、なんでよ!?」

「なんでって言われても」

「仁科ちゃんって好きな人いるの!?」

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