彼と彼女の花いちもんめ~意地悪王子の包囲網~
「え・・・いえ・・」

「じゃあ、いいじゃん!!柿谷さんだよ!?
あんなイケメン、ああ、まあ、さー・・・仁科ちゃん位美人なら、他にも引く手数多かも
しれないけど!!
でも、あの、柿谷さんがあれだけ本気モードなんだから、もうちょっと前向きに考えてもいいんじゃないの?」

同期の今村さんがいつになく熱く話しかけてくる。
いつもは、化粧品と芸能人の話しかした事なかったのに。
意外とガツガツ自分の意見言う人なんだな・・・

妙な事に感心しつつあたしは苦笑いする。

「今村さん、ちょっと待って。先に訊いとかなきゃ」

「え?何をですか、先輩」

「仁科さんの気持ちよ。仁科さんって、柿谷さんタイプじゃないの?」

「タイプ!?タイプとか言われても・・・」

「え、じゃあ、じゃあ、どんな男の人が好き?」

「ええ!?どんなって」

「たとえばー・・・」

更に言い募ろうとした今村さんが、慌ててあたしの傍から離れる。
気付けば、課長があたしたちの方を見て顔を顰めていた。
松井さんも急いで席に戻る。

「仁科さん、今村さん、今日帰りしお茶行くわよ!」

パソコンに向かいながら松井さんが決定事項として告げた。

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