一期一会
「何でもういるのよー!」

何故か成実ちゃんは鼻息を荒くさせて怒っている。


「何でと言われましても…ここは学校で、私は学生なわけで、そりゃいますよ」

頭に疑問符を浮かべながら二人を見ると、二人はなにやらコソコソし始める。

どうしたの?と声を掛けようすると「せーの……」と聞こえ、次の瞬間、


「「ハッピーバースディ!!」」


揃った声で二人は可愛くリボンが付けられラッピングされている袋を私に差し出した。

私は「え?」とポカンとなる。


「何で二人が私の誕生日知ってるの?って顔してる」

紘子ちゃんはクスクス笑う。

紘子ちゃん、その通りです。
だって私、二人に教えたこと無いよ?


「前に出掛けた時に中原君に訊かれてたでしょ?」

そういえば中原君に訊かれた時、成実ちゃんもその場に居たな。
でもあの時は五月としか言っていないはず……。


「日付が分からなかったから直接聞こうかと思ったけど、サプライズにしたかったから中原君なら知ってると思ってこっそり訊き出しといたんだ~!」

嬉しすぎて目が潤んできた。
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