一期一会
「おはよ。ずっと見てたの?」

「おはよ。途中から」

「智也、はよーさん!やっとクリアした!!タケシに自慢してこよ~!」

「クリアしたのは西野だろ」

中原君は呆れた顔で返す。
アツヒロ君は違うクラスの男の子だろうか、『タケシ君』に自慢しに小躍りしながら出て行った。


「バカでしょ、アイツ……」

「ハハッ」

「でもゲームがやれて良いな……。私も早くスマホ欲しい……」

私は羨ましくて呟いた。

「そういえばいつ携帯買えそう?」

中原君は私の前の席、アツヒロ君の所に腰掛けた。

「それがね、来年の三月まで買えなさそうなんだ……」

「何で三月?」

「弟がね、今年受験生なんだ。このタイミングで買うと絶対二人でゲームするから駄目だってお母さんに言われて……。今も一緒にゲームやってると怒られるしさ。ガラケー買おうか迷ったんだけどやっぱりスマホが良いからなぁ~……。弟の受験が終わるまでは無理っぽいんだよね……」

私ははぁっと溜め息を付いた。

「ゲーマー姉弟だもんな。そりゃ親も心配するな」

「巻き込まれる私の身にもなって……」
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