一期一会
「……って、これじゃ中学の時と一緒だな……」


はぁっと大きな溜め息が溢れた。

実は私がバスケ部に入らず、人見知りになったのは理由がある。

昔から初対面の人は苦手だったが、とある事件をきっかけに輪を掛けたように人に恐怖心を抱くようになった。
特に女子に対して。

あれは中学一年生の冬、私はいつも通り部活をしていた。
ふと二年生の一人の先輩から違和感を感じた。

背筋が凍るような視線。

その日から先輩は私を虐め始めた。

シュートを決めれば「ウザイ」とか、
ペアを組む時に私だけわざと一人にさせた、とか、
私だけ公式試合でユニフォームを着させない、とか。

殴られたり暴力を振るわれたことはないが、言葉の暴力で私を精神的に弱らせた。

楽しかったバスケが急激に楽しくなくなった。

皆が見ている前で平気で罵倒しているのに、キャプテンや十人以上いる先輩達は誰一人として私を庇ってくれない。
むしろ一緒になって笑っている先輩もいた。
先生だって週の半分は部活を休む私を校内放送で呼び出すくらい変には思っているくせに、部活では何も言ってくれない。
友達の亜由だって黙って見ているだけだった。
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