一期一会
頭の上にはてなマークを浮かせたまま呆然としている私を放置して話している二人。


どういうこと!?


「ちょっと!成実ちゃん!こっち来て!」

説明を求めるために私はアツヒロ君から遠ざかるように成実ちゃんの腕を掴んで強引に店内の隅に引っ張った。


「何でアツヒロ君がいるの?待ち合わせしてたの?」

「えへへ~。実はそうなんだ~」

笑いながら話す彼女を見て悲しくなる。


「成実ちゃんとおしゃれなカフェでデザート食べたり、買い物したりしたかったのに……。私、明らかにお邪魔じゃん……」

ずっと何処に行くか一人で妄想してたのがバカみたいだ。


「ごめん…そんなに瑞季が楽しみにしてくれたなんて気付かなかった……。あー!もー!可愛いやつ!」

成実ちゃんが私をぎゅっと抱きしめてきた。

「う…くるし……」

「っていうかね、むしろ私達がお邪魔だと思――――「西野」
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