一期一会
「中原君も歌ってよ?」

「俺は下手だし、いいよ。それに西野の歌、聴きたいから」


無心……


私の歌を聴きながら「聴き惚れるわ」と呟く彼。


無心…無心……


そして何故か遠かった所に座っていた彼がいつの間にか隣にいる。


無心…無心…無心……


リモコンを操作してると隣から伸びてきた長い指。

「この曲好きなんだよね。歌って?」


無心…無心…無心…無心……


「ねぇ、誕生日なんだけど五月何日?」

「え?」

「この前、聞き逃したから。もうすぐ五月だし」


無心…無心…無心…無心…無心……


「五月二十日だよ」


「じゃあ、その日、空けといて?」




む……
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