一期一会
中原君の思いがけない言葉に固まってしまった。


「予定、もうあったりする?」

「ない、けど……」

「じゃあ空けといて?」

「……はい……」


マイクを握る手が異常に汗ばむ。


誕生日に空けといてって……


二人でどこかに出かけるってこと……?


……。



『私は何とも想っていない人を誘わないと思うよ』

先日、成実ちゃんに言った言葉が頭を過ぎる。



私…このままだと、


期待しちゃうよ……?


自惚れちゃうよ……?


私だけ特別なんだって、


勘違いしちゃって良いの……?



「な、中原君……!」


震える声で彼を呼び、彼を見ると、彼の瞳に私が映った。

期待している熱い瞳の私。

心臓は全速力で走っているかの如く暴れている。
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