覚悟はいいか!【完結しました】





「優…………ごめんな
こんな風に抱いて
俺、優のこと全然大切にできてない」

「誠さん…………」


ぎゅっと抱き寄せてくれる
その温もりに嫉妬の波は小さくなっていく



「誠さんが嫌なら行きません
美幸と隆也に任せます
あの時、充の彼女にもお世話になっちゃったから」

「彼女?」

「はい、ちゃんと彼女も居ますからね」


俺は、はーっと息を吐いた
"彼女"の言葉に安堵した
そりゃあ、もう"行ってきていいよ"と言うくらいには………
情けないほどにゲンキンな男


「美幸ちゃんと隆也も一緒だろ?
行ってきていいよ、ごめんな、優…………」


優はそんな情けない俺をちゃんと受け止めて抱き締めてくれた


「充ってやつさ、優が長く付き合った男だろ?
隆也が言ってた気がする」

「はい、高校生の時から大学一回生まで」


え?
大学時代の彼氏じゃなくて?
俺の戸惑いを感じたのか優が「誠さん?」と少し遠慮気味に名前を呼ぶ

高校時代の?
もしかして、隆也から紹介した男?

「優は変な男に付きまとわれる事もあったので、俺と美幸が認めた男を勧めました
大学入ってしばらくして別れましたけど」


隆也の言葉を思い出す
充ってやつは、そいつか…………

長く付き合っただけじゃない
同じ高校で…………ずっと優の傍にいたんだ


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