覚悟はいいか!【完結しました】



「津川」


名前を呼ばれて振り返れば南くんだった
美幸に見せたようなニコニコ顔は封印されて、最初の睨み程ではないが、なかなかのふてぶてしさ
それでも、整った顔はイケメンと呼ぶに相応しいほど


「なに?」

「も、もっと言えよ」

「は?」

「あれ…………」

「あれって?」

「や、だから、あれだよ!」


どれだよ!
南くんの態度にキレそうになるけど
いやいや、ここは冷静に…………

しかも、南くんとは会ったばかりなんだから
例え、何が言いたいのかわからなくても耐えろ


「ごめん、"あれ"じゃわからないから………
ちゃんと言って欲しい」

「うっ…………」


こっちが冷静になったからか南くんは戸惑って言葉を詰まらせたようだ


カチカチ
カチカチ

えっと、南くん?

南くんはさっきから、ぶつぶつ一人で言っているだけで一向に何も言わない
私の存在忘れてない?


「えっと、南くん?私、行くね」

「あっ!えっと、ま、待て!
あれだよ!あれ!
お、幼なじみってやつ!」

「幼なじみ?」


何を言ってるんだ?
慌ててるし、言ってる意味がよくわからない


「ほら、"幼なじみって良いね"ってやつだよ」

「あ、あぁ、それが?」


確かにさっき言った
でも、それが何だ?


「も、もっと美幸に言えよ」

「なんで?」


誰だってそう聞くよね?
私、間違えてないよね?



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