覚悟はいいか!【完結しました】



ムクムクと秘書への興味がわいてくる
私って単純だな


「さ、あとは誠さんがどう出るかな?」


親友の小さな呟きは私には聞こえなかった








「社長秘書?」

「うん………」


さっきの美幸に言ったときと同じだ
でも、違うのは誠さんの顔色を窺いながら話す自分

美幸と別れてすぐに誠さんに連絡したら車で駅まで迎えに来てくれた
美幸を送って、私の家へ

食事は済んでいたので、誠さんに後ろから抱き締められたながらゆっくりとコーヒーを飲みながら寛いでいた
私の胸中は穏やかじゃない

意を決して、身体を反転させて「話があるの」と切り出した
すぐに話せると思ったのに「別れ話なら聞かない」ととんでもない事を言い始めて
私は埒のあかない会話にキレながら「社長秘書の話があるの!」と叫んで今に至る

ちゃんと、冷静に言いたかったのに………


「社長秘書………」


誠さんは、もう一度呟いて顔を顰めた
美幸もそうだけど、誠さんも負けず劣らず勘がいい
気付いたかな?


「あの、社長め、それ、私情だな」

「あ、う、」

「あいつ、」

「社長にあいつ、なんて言ったらダメだよ」

「あいつ、で充分だよ
俺の同級生、それで俺もここに来た」


ヘッドハンティングの話は本当なんだ
同級生だからじゃない、誠さんの能力をちゃんとわかってるんだ



誠さんは、じっと私を見てきた
その視線に首を傾げると「ぐっ……」と何かを堪えるような声を出した

どうしたのだろうか?


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