略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
「マヌケ面って、何よ!
一瞬、真に受けそうになったじゃない。」

「くくっ
真に受ければいいのに。」

「いやよ。
小川天に振り回されてバカにされるなんて、
ゴメンだわ。」

振り回す気なんかないのに。

俺は、研修の頃から気になってた事を聞いてみた。

「なぁ、お前、なんで俺だけフルネームで
呼ぶの?」

「え? 何となく?
小川天って呼びやすいじゃん。」

「邪魔くさいから、天だけでいいよ。」

「天?」

「そうそう。」

「ふーん、じゃあ、そうする。」

伊藤から、『小川』じゃなくて、『天』って呼ばれるのは、ちょっと特別感がある。

別に付き合いたいとかじゃない。

だけど、『天』ってよばれると、ギスギスしてた2人の距離が縮まった気がする。

明日から、いい仕事ができそう。


俺たちは、その後も腹いっぱい食べて、俺の財布をかなり軽くして、家路に着いた。
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