Adagio
東京に出店のない人気店のものなら、きっと喜んでもらえるだろう。あまり色々なものをあげれば却って気を遣わせてしまうのも分かってはいたが、やっぱり美味しいものはその味の特別さを理解できる人と共有したい。
自宅用と坂巻の分、ついでに宇美の分を購入し、有紗は幸せな気持ちでレストランの入り口から伸びている、空席待ちの列に並んだ。
店内を覗きながらそわそわした気持ちで待っていると、有紗の二人前にどこか見覚えのある女性の姿を見つけた。さらりとした柔らかな長い髪、ほっそりとした横顔。華美だ。有紗は思わず列から抜け、その場を離れた。
(まさか、こんなところで会社の人に会うなんて)
柱の影から、有紗はそっと華美の様子を窺った。華美はどうやらひとりで来ているようで、スマートフォンに視線を落としたままだ。
食事に行く相手がいくらでも見つかりそうな美人でも、ひとりでディナーを取ることがあるというのが、有紗にとっては意外だった。
自宅用と坂巻の分、ついでに宇美の分を購入し、有紗は幸せな気持ちでレストランの入り口から伸びている、空席待ちの列に並んだ。
店内を覗きながらそわそわした気持ちで待っていると、有紗の二人前にどこか見覚えのある女性の姿を見つけた。さらりとした柔らかな長い髪、ほっそりとした横顔。華美だ。有紗は思わず列から抜け、その場を離れた。
(まさか、こんなところで会社の人に会うなんて)
柱の影から、有紗はそっと華美の様子を窺った。華美はどうやらひとりで来ているようで、スマートフォンに視線を落としたままだ。
食事に行く相手がいくらでも見つかりそうな美人でも、ひとりでディナーを取ることがあるというのが、有紗にとっては意外だった。