Adagio
「宇美さん、わたしの貼った宛名シールを一枚一枚チェックして、すぐ送らなきゃいけないのに、どんどん封筒をはじくんです。シールが曲がってるとか、印刷の文字が少しずれてるとか、そんな理由で。
最初は『宇美さんってものすごく細かい人なんだな』って思ってたんですけど、『綿貫にとっては千枚の内のひとつかもしれないけれど、受け取る人にはその一枚しかないんだよ』って言われてハッとしました。
ただの作業みたいな仕事でも、その仕事の先には人がいるんだなって。同じことを繰り返していると、忘れそうになってしまうんですけれど」
有紗の失敗談から、勘のいい首藤は何か思い当たることがあったようで、そのまま暫くのあいだ口をつぐんだ。
直接的ではなかったが、首藤自身が話した宇美の話を合わせれば、出勤簿に関しての説明は、もう必要なさそうだった。
「恥ずかしい話ですけど、そんな風に考えたこと、なかったです」
首藤はぽつりと呟いて、苦笑いした。
最初は『宇美さんってものすごく細かい人なんだな』って思ってたんですけど、『綿貫にとっては千枚の内のひとつかもしれないけれど、受け取る人にはその一枚しかないんだよ』って言われてハッとしました。
ただの作業みたいな仕事でも、その仕事の先には人がいるんだなって。同じことを繰り返していると、忘れそうになってしまうんですけれど」
有紗の失敗談から、勘のいい首藤は何か思い当たることがあったようで、そのまま暫くのあいだ口をつぐんだ。
直接的ではなかったが、首藤自身が話した宇美の話を合わせれば、出勤簿に関しての説明は、もう必要なさそうだった。
「恥ずかしい話ですけど、そんな風に考えたこと、なかったです」
首藤はぽつりと呟いて、苦笑いした。