学生二枚
事故
 晴香はよく笑ってた。あの時僕は無理に笑っていると思ってた。けど、今思えばあの笑顔は僕のために向けられていた様な気がする。

 人には運命って言う都合のいいものがある。何か悪い事があったら運命のせい。何か良い事があったら運命のおかげ。僕はそんな都合のいいものがあってはいけないと思ってた。

 けど、彼女と話してからちょっと運命も良いかなって思ってるんだ。

 もう辺りは薄暗く、まるで地球にに豆電球が点いている様な明るさになっていた。

 僕はまたあの場所に立っていた。彼女が好きだった場所に。そして彼女と初めて会った場所に。

 そうあの時もこんなに薄暗かった。

 あの時僕の耳から聞こえたのはサイレンが鳴っている音だった。

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