かんしゃ の きもち
「いや、これは、ほら、あれだから、さ」
途端に生田くんが狼狽える。
「ねーえ、得野さぁん。私と裕也って、もうすぐ結婚するの。知ってた?」
そういうと、玲子ちゃんは強引に生田くんの腕をとって、芸能人の結婚記者会見みたいに左手の甲を私に向けた。
薬指に、複雑な光を放つダイヤが輝いている。
わぁ、と会場の一角から歓声が上がった。玲子ちゃんの取り巻きテーブルの辺りだ。
玲子ちゃんは昔と変わらず美人だから、こんな恥ずかしいことをしても様になる。きっとウェディングドレスとかお色直しとか、たくさんしちゃって、お金かかるんだろうな、なんて、お節介な事をぼんやり考えていたら。
「この際だから、言わせてもらうけど」
そういうと、玲子ちゃんがギリと私を睨みつけた。