極上御曹司の愛妻に永久指名されました
彼は笑顔で挨拶して、いつものようにカウンター席に腰を下ろす。
もうこれで三日連続で来店している。
親は調子に乗って私をからかうし、憂鬱にならずにはいられない。
黒沢さんに"私はあなたと付き合っていません"とはっきり言った方がいいだろうか?
でも、彼とふたりきりになりたくはない。
もうその顔を見るだけで、うんざりなのだ。
かなり失礼とは思うが、心の中で"早く帰って下さい"と祈る。
重い足取りでカウンターに戻り、黒沢さんに水とおしぼりを出す。
すると、彼が私の手を掴み、ハッとした。
「ねえ、紫ちゃん。今度就職祝いに食事に行かない?」
ニヤリと笑う黒沢さんを見て、背筋がゾクッとする。
断ろうするも、うまい理由が思いつかない。
固まっていたら、「すみませーん」と風間に呼ばれた。
「お、お客さんが呼んでるので……」
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