元カノと復縁する方法
数日後、避け続けてきた相手に、旭はエレベーターでばったりと会ってしまった。

また急ぎの資料の修正で残業、時間は22時過ぎ。

最近は心配そうにこちらを見る颯も、声をかけ辛いのだろう、何か言いたそうにしながら、旭の机にこっそりコーヒーや栄養ドリンクを置いて、帰っていく。

遅い時間にエレベーターに乗っていたのは桐山一人で、飛び込むように乗り込んで、自分を見て目を丸くする旭に、「お疲れ様」と不敵に笑った。


助手席で、はぁ、とため息をついた旭を桐山は横目で見た。

「自分で言うのもなんだけど、俺は女の子を助手席に乗せて、そんなため息をつかれるのは初めてだよ。」

ずるすると引きずられるように助手席に乗せられた旭は、鞄を胸に抱え、小さくなって座っていた。

「隙を作らないようにしてるの?」

くすくすと可笑しそうに笑う。

そんなに固まらなくても、大丈夫だよ。

話題を仕事の話に変え、香月の話や橘の成長について聞きたがる桐山の横顔には、あの日の気配は見えない。

お願い、今は、踏み込まないで。
心で強く祈った。
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