いじめと内気少年
序章

日課

7:30

朽ちてペンキが剥げている教室の扉を開く

自分の席へ向かう、机の上には

また、金銭と面倒を気にしない生徒により

綺麗な花が一輪、花瓶に刺してあった

紫の大きく開いた花

確か、前にも送られた覚えがある

確か……オシロイバナだったはずだ

今日は綺麗な花だな……

前に送られたときにオシロイバナは

花言葉を調べた覚えがある

この手の贈り物はあからさまなものではなく

花言葉のように意味を隠して

相手に様々な想いを伝えるのだ

隠れるように咲くことから

「臆病」「内気」だったはず

臆病……直接言わない彼らはそれこそ

ではないのだろうか?


少し花瓶を横にずらして椅子に座る

意欲のある生徒たちによって描かれた

綺麗な絵と文字が黒板一杯にかいてあった

彼らは朝から暇なんだろうか

またわざわざ早く来て描いて

どこかへ行っているのだろうか


黒板を読んでいく

臆病、内気、気持ち悪い、死ね、うざい

なんとも幼稚で拙い文字だろうか

殴り書きでもしたのか、臆病は平仮名

気持ち悪いの持の漢字が違う

添削でもしてやろうかと思ったがやめた

関わっては面倒事を舞い込ませるだけだ

ひとまず、これでは先生が見つけてしまい

一時間目の授業が始めれない


極力音を抑えながら椅子を下げ

黒板を少しずつ丁寧に消していく

黒板クリーナーの起動音が騒がしく鳴るなか

意欲のある学生が産んだ産物は

失われていく


なにか、虚しく感じるのはなんだろうか

振り払うように強めに黒板を消していく

……こんな毎日もこんな風に消えればな


そう考えながら8:00

自分を抜いた、一人目のクラスメイトが

教室に入ってきた

すぐに終わらせて席に座る

いつものようにホームルームが始まるまで

目を瞑り、待機していく

……なぜこのような毎日になったのだろうか
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