いじめと内気少年

回想

小学三年生

楠原、という名前から

自分はくす君と呼ばれていた

いつからだろうか、くすに濁点がついて

ぐずくんと呼ばれるようになっていた

その頃自分は特に気にしてはいなかった

正確にはぐずと言われても

なにも思わなかったからだ


だが、その呼ばれ方を知った大人たちは

過剰に考えていじめとして

クラス会議のようなものになってしまった

今考えれば、火に油を注ぐものだったと思う

結論から言えば、悪化した

クラスに話題を出したことで

全体に知りわたり、言っていた人からは

先生からの小言を受け取ったせいにより

あいつのせいで、と考えたことで

自分に恨みが向かった

名前だけだったら負担も軽くて

とても、ありがたかった

だが、先生の粋な計らいによって

直接的ないじめが始まった


具体的な例を挙げるのであれば

前を通るときに足を蹴る、もしくは罵倒

椅子をどこかに移動させる

無視や仲間外れ、掃除任せ

机には落書き椅子には濡れ雑巾

流石に物を盗られてその上無くされたときは

怒ってやめてくれ、と言ったが

当然効果もなく、僕はやってないよ?と

しらをきって知らないふりをされた


先生は事態が悪化していることを見かねて

相談を持ち掛けてくれた

だが、いじめは無くそうにも元の原因は名前

悪化してしまったのは先生によるクラス会議

無くすためにはいじめっ子側が

変わらなければいけない

そうそう変わるはずもない


先生は成す術がなく諦めるように

もう少しだけ、もう少しだけ、様子を見よう

と提案した、素晴らしい日和見だと思った

当然様子は何も変わることはなかった

その後なにか対策することも一切なく

そんな日々が続き、自分は中学生となった
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop