好きって言って。

>Side:りぃと「ジレンマ」

なんで俺はまだ中学生なんだろう……

なんで俺はまだ高校生なんだろう……

ずっと、その時の立場を当てはめてそう思ってきた。

なんで、俺はひなより6歳も年下なんだろう……

6歳の年の差。

17歳と23歳。

高校生と社会人。

その差は歴然としていて。

ましてや、年下のほうが男っていう……

サイアクだ。

いまだにひなにとって俺はお隣のかわいいりぃとのまんま。

ひなが制服を着るようになれば、俺も制服が着たくて。

ようやく制服を着るようになったときには、ひなはもう制服を卒業していて。

スーツを着て隣の家を出ていく。

やっと着ることができるようになった制服が、やけに惨めに感じた。

いつまでたってもひなに追いつくことはできない。

それは、まるでお前はひなの隣に並んで歩くことはできないんだって思い知らされているようで……

少しでも近づきたくて、視界に入りたくて、並びてくて、

年下の呪縛から逃れたくて、

ひなちゃんからひなって呼ぶようになったのが中学生になった頃。

それまでにもふざけてそう呼んだりすることもあったから、特に違和感なく移行できたと思う。

兄貴はひなたって呼ぶから。

ひなの家族もひなたって呼んでた。

俺の両親は、ひなたちゃん。

学校の友だちは名字の杠葉(ゆずりは)からゆずって呼ぶって聞いていた。

俺だけがひなって呼びたかった。

ひなだけが俺をりぃとって呼ぶように。
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