好きって言って。
りぃとがアイスを口に運ぶ。

あ、スプーン……

って、中学生かよっ。

しっかりしてよ、23歳。

私だってそれなりに恋愛経験が、ないわけじゃ、ない……?

……たいしてないけど。

それにしても。

6歳も年下の、高校生に翻弄されすぎじゃない?

「りぃと……なんで、わたし?」

「なんで?理由必要?」

「……必要っていうか、だいぶ年齢もちが」

「それ言わないで。俺の一番のコンプレックス」

言い終わる前にりぃとに遮られた。

「なんで俺は6歳も年下なんだろうってずっと思ってた。兄貴と制服姿で並んで歩いたりとか、本気でムカついてた」

そっぽを向いてそう言い捨てたりぃとは本当に悔しそうで。

でも、その気持は少し分かるところもあって。

年上の、上司と付き合ってた時、年齢の差に悔しく思ったことがあった。

「……なに考えてるの?」

昔の記憶を彷徨いそうになったところで、現実に引き戻された。

「……いや、えっと……」

告られてる(?)タイミングで、昔の彼氏思い出してた、なんて言わないほうがいいよね。

「俺と一緒にいるときに、俺以外のこと考えないで」

「……っ!」

バレてる。

「あ、そうそう」

急にいつもの、私がよく知っているりぃとの顔になった。

「この件は、うちの親ふたりとも全面的に応援してくれてるから」

「……は?」

「母さんに至っては、絶対落としてこい。連れて帰ってこい、だって」

よっぽど私は間抜けな顔をしていただろう。

「ひな、口あいてる」

りぃとの指が私の唇を撫でた。
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