ハル色に染まるるを…



「おはよー、酔っ払い。」

うわ!幻覚が。

「しゃ、喋った!」

アホな私がそう言うと、
幻覚が呆れた顔をする。


「まだ酔ってるのか?ゆい。
ほら、送ってやるから来い。」

そう言うとハルくんが私の手を引いた。

「あれ、本物?」

どうやら、幻覚ではないようだ。

…あぁあ。
ハルくんの普通な様子を見ると
やっぱり昨日の"記憶"は夢なのだろう。


…当たり前か。


「ねぇ?ハルくん。私昨日、何か
変なこと言ってなかった?」

恐る恐る聞いてみる。
するとハルくんは、ピタリと足を止めた。

振り向いたハルくんは、とっても怖い顔。


「昨日の事、覚えてないのか?」


…え?私やっぱりなにかしたの?
どうしよう、あんな夢しか思い出せない。


「…うん。」

私は素直に認めた。
仕方ない、あんな恥ずかしい妄想を
話すわけにはいかない。

それこそ、会わせる顔がなくなる…

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