いつだって恋は雨模様
私の中では、入学式の次の日がポイントだと思っている。

私なんかに友達出来るかな。

そんなことを考えていたら、前からふわっと甘い香りがした。

「ねぇねぇ、桃井さんっ!」

あまりの可愛さに、一回息が止まると思ったほどだった。

くりくりの目、三つ編みをお団子にした髪型。

そこについている、オーガンジーのピンク色のリボンがとても可愛い。

「私と友達になろっ!」

手を私に伸ばして、にこっと微笑む。

大きなえくぼがとても印象的だった。

「えっと...私、上がり症であまり自己紹介の時間聞いてなくて...。ごめんなさい」

「ならもう一回自己紹介ターイム!!

時川 雫(ときかわしずく)っていいます!

特技は、少林寺拳法です!あ、空手も柔道もある程度ならできるかな

趣味は、瓦割りです!よろしくね!」

イメージとは違って、アグレッシブというか、

なかなか強い。

「じゃあ、私も...」

「いや、ちょっとまった!!」

ん?と首をかしげる。

「こんなこと言ったらひかれるのも承知なんだけど、

10光年に一人の美人って桃井さん言われてよね?

それで、んーっと...ずっとファンでした!

色々な検索かけても全く引っ掛からないから、

今日教室に桃井さんが入ったときに、

2度見通り越して、4度見くらいしちゃったよー」

私も驚き通り越して、笑いに変わった。

「あはは!雫ちゃんみたいな可愛い子に、

ファンだって言われちゃったら、嬉しい以外になにもないよ」

そういうと、「ひかないの?」と

くりくりとした目で、見てくる。

「全くひかないよ」というと、

何故だか、握手をした。
< 9 / 35 >

この作品をシェア

pagetop