日向はキミのもの。
君を見てると










あれから 私へのいじめはなかった。


1度も。






季節は巡り、


秋になった。





受験勉強の真っ最中。


教室もだんだんとピリピリしてきた。







「あぁ・・・ダメだ。やばい」



「ちょっと、塩見うるさいっ」



「凜音(りんね)に言われたくないわ!」



「はーっ!??」








「ちょっと!2人ともうるさい!」




美玲ちゃんの声が響き渡る。
声だけで怒っていると分かった。




「ごめん」 「ご、ごめんね」





二学期になって席替えをしたから、美玲ちゃんと席が離れた。



・・・優希とも。









今は自習の時間。



みんなそれぞれ勉強したい科目を黙々と勉強する。




私はもちろん数学だ。



私は数Aが少し苦手だからひたすら参考書とにらめっこ。





隣の席の梅田 颯馬 (そうま) くんは理科を勉強している。



梅田くんは話しやすく、優希の次に仲のいい男友達と言っても過言ではない。




すると、隣から髪の切れ端がきた。



なんだろう。





『教えて』





梅田くんからのメッセージ。




私は梅田くんの方を見て手で丸を作り、OKのサインを出した。







話すと浮いちゃうから全て紙に書いて説明した。



梅田くんは圧倒的 文系男子で、理科や数学は苦手らしい。




『ありがとう』



『いーえ』





最後のメッセージを書き終えると梅田くんはニッコリと笑った。







何かを思い出したかのように私は優希の方を向いた。





優希の隣の席は・・・有田さん。




怖くて、未だに優希の席に行けていない。






こんな怖がってちゃダメだって分かってるけど、
どうも自信がわかなくて、この前みたいになったらどうしようとか考えてしまう。





この前のことは忘れてたのに席替えをしてから、思い出すようになった。














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