Snow Doll ~離れていても君を~
陽が沈み、春馬君と一花ちゃんと別れた私達は、本屋に行くのはまた次回にすることにした。
海里のマンションに着き、ケイが「じゃあまたね」と手を振り帰ろうとしたとき。
「ケイ、待って!」と私は慌てて腕を引っ張って引き留めた。
「何? どうかした?」
首をかしげるケイは私のことを見下ろしてくる。
「あのね、ケイにちょっと話が」
私がそう言うと、海里は気を効かせたのか先にマンションの中へ入っていく。
エントランスの前でケイと二人になり、私はスカートの裾を握りしめた。
「ずいぶん悩んでる顔してるけど。恋の相談かしら」
「う、うん……」
「海里のこと?」
勘が鋭いケイは、声をひそめて私に聞く。
私は深呼吸してから、ケイに一つお願いをした。
「ケイ……、もしできればの話だけど、海里のマンションにケイも一緒に泊まってくれないかな。
私、もう海里と二人きりでいられないの」
「ユキ。──彼のこと、意識しちゃった?」
ケイは小さく笑い、頬を熱くする私の前髪をそっと撫でた。