Snow Doll ~離れていても君を~
一人、また一人と桜花の生徒達が背を向け始める。
私を見送る者は誰もいない。
最後に海里が、憂いを潜めた目で私を見つめてから、こちらへゆっくりと背を向けた。
──待って。行かないで。
口から溢れそうになる言葉を、唇を噛みしめ堪える。
でも、これだけは伝えたい。
こんな傷だらけの私を、あの居心地の良い桜花に居させてくれて。住む場所を失った私へ温かな居場所を作ってくれた、みんなへ。
この気持ちを今伝えなければ、絶対に後悔する。
そう思った私は兄の腕から抜け出し、階段を下りていく彼らの背へ想いを届けた。
「みんなが私のことを忘れても、私はずっと、みんなが大好きだし、仲間だと思ってるから……!」
一瞬、海里は私の言葉に立ち止まるが、振り切るように蒼生高から姿を消した。
旧校舎の窓の外。
青いシャツが風ではためくのを私はずっと目に焼きつけていた。