Snow Doll ~離れていても君を~
「……あーあ、ケイちゃんを怒らせちゃった」
私達に追いつき階段を下りてきた春馬君がいつもの軽い調子で言うけれど、その瞳の奥は険しく笑顔はない。
ケイは戦ったことがないのではなく、戦わないだけだったのだ。
自分の意志に反して戦ってくれているわけで、何だか苦しくなってくる。
次から次へと蒼生高の淡い灰色の制服を着た人が増えていく。
黒い布を左腕に巻きつけた男達。
よく見ると、蒼生高の灰色の制服同士が殴り合いをしている。兄が率いる相原のチームは青い布を左腕に結び、黒い布を結んでいるのは影島のチームのようだった。
同じ高校ながら、敵対しているということを表している。
そして兄達の身につけている青い布は、海里のシャツと同じ色をしていた。
もしかして、海里のお兄さんもその色を身につけていたのではないだろうか。何となく、そう思えた。
「優希奈、必ず誰かのそばにいろよ。絶対に離れるな」
海里は私へそう告げ、ケイや春馬君と一緒に私と理希の盾になり、誰も近寄らないよう敵からの攻撃を防いでくれていた。