Snow Doll ~離れていても君を~
溜め息をつきながらドライヤーのコンセントを入れたとき、背後で人の気配がする。

鏡の奥に海里の姿があった。

嘘……。

「……本当にドライヤーかけてくれるの?」


半信半疑で彼の瞳を見つめる。


「勝負に勝ってしまったから仕方ない。俺が嫌なら他のヤツ呼ぶけど?」

「いや、海里が……いいです」


小声で答えたのを確認した彼はドライヤーを奪い、私の濡れた髪に触れ、熱風を当てていく。


すぐ後ろに海里が立っていて、私と一緒に鏡に映り込んでいるので、あまりの緊張にどんな顔をしていいかわからない。


しかも意外と乱暴ではなく優しい手つきだったから、余計に落ち着かなかった。


「海里だけ、何だか罰ゲームみたいだね」

「罰ゲーム?」

「だって私の髪を乾かしたって、海里は何も得しないでしょ」

「……。いいから早く終わらすぞ」

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