怨返し─赦されない私の罪─
心臓がはち切れそうになりながらも、依奈は東崖寺まで着いた。他の寺より随分と古びていて、ここのご住職は手入れをするくらいでしか来ていない。
そんな小さな寺は今日の依奈にとっては不気味でしか無かった。
依奈はスマホを直ぐにとり、美苗に電話をかけた。一コール、二コール、三コール続いても応答はなく、周りから着信音のような音は聞こえなかった。
「はぁ...はぁ....美苗、どこ?どこいっちゃったの?」
依奈はブツブツ呟きながら、寺の周りをくまなく探した。だが、美苗の姿は依然として見当たらない。近くの墓地にも足を運んだが、美苗どころか人の気配すらない。
焦りを感じ、依奈は慌てふためいていた。
すると、電話が小刻みしながら音楽を流し始めた。
依奈はすぐに手を取って画面を見ると美苗からの着信だった。
「み、美苗!?今どこ!大丈夫なの!?」
「あぁ!良かった!今東崖寺の裏手にある山道!その先で章太君から隠れてるの。お願い....依奈!助け....ッ!痛!え?なに?...あ、あぁ....なんで...」
そこで電話はブツりと切れた。事態は一刻を争うのは一目瞭然。依奈はすぐに寺の裏手まで足を進め、綺麗な夕暮れの日差しが照らされている山道を見つめた。
...この先に美苗が...章ちゃん...なんで美苗を...