怨返し─赦されない私の罪─

依奈は遅れてるであろう裕子にメッセージを送り、ポケットにスマホをしまい、その山道を駆け上がって行った。



依奈が山道を駆け上がり、姿が見えなくなった頃に裕子は寺へ辿り着いた。
ヘトヘトになって足元がふらついていた。裕子は自分の体力のなさ、そして運動をしてこなかったのを深く後悔していた。


千澤さんは八栗さんのためにあんなに一生懸命になったのに....なんで私はいつも遅れるんだろ....あの時だって私が一歩踏み出すだけで助けられたのに....私は何で重要な時に足を遅めちゃうのかな....


裕子は悔し涙を堪えながらも、依奈に連絡しようと携帯を開いた。画面には先程依奈が送信したメッセージが表示されている。


「さ、山道?....まだ先に?....うう....やだなぁ....」


破裂しそうな心臓を抑えながら、裕子は携帯を操作していた。

すると、裕子は背後に人の気配を感じた。
咄嗟に振り返ってみると、裕子は固まった。

そこに立っていたのは元凶であり、恐怖の大王、享吾が立っていた。
今まで以上に冷徹な顔をしていて、裕子は身震いをした。


「きょ....享吾....君...」


「佐々木。千澤はその先に走ってったろ?どけ。」



「享吾君....なんでここに....病院にいるんじゃ」


「聞こえなかったか佐々木。二度も言わせんな。うん、二度とな。次余計な口開いたら殺すぞ。」
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