怨返し─赦されない私の罪─
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清潔感漂う純白に包まれた一室。誰もが安らぎを求めているのに答えるようなそんな一室。
そんな一室を作り上げるのに必要な条件、その一つが静寂。
だが、安らぎの部屋でその静寂は一人の人間で崩壊しつつあった。
派手な音楽に獣と男性の声、それに加え爆発音や硬貨の落ちる音が鳴り響く。
その一室には一人ではない、複数の休息をしている人間も数名いる。誰もが不快に思い、うんざりしていた。
だが、誰も反発せず、顔に枕を押し付けたり布団の中に潜ったりして対応していた。
周りの人間が嫌がっているオーラを感じていても、知らんぷりで西村 京吾はゲームをやっていた。だが、流石に気には障ったのか、京吾は軽く舌打ちをする。
すると、ある人物がガタッと立ち上がり、座っていたパイプ椅子が豪快に倒れた。
その音に周りの人間もビクついて、さっさと寝てしまおうと何も考えずに布団に潜る。
赤い髪をチラつかせ、まるで仇を目の前にしているかのような鋭い眼光。その威圧感に目にしていなくても震えてしまう患者達。
「...おい竜。やめろって」
「あ?なんだあいつら?一人くらい入院遅らせてもいいんじゃねぇのか?そうすりゃあ大人しく」
「マジでやめろよ。ただでさえ警察に"目をつけられてる"のに。」