鳴らない電話を抱きしめて
だったらもういい。

もう聡の事は忘れる。

電話もメールもしない。

二度と声もかけない。

笑いかけない。

目で追わない。

あの日、告白されて嬉しくて私は聡に恋をした。

でも…聡は違ったんだ…。

でも…もう終わりにしよう。

私の聡への恋心を消して、一緒に私の中の彼の存在も全て消し去ってしまおう。そう考えた。


聡には何も告げず、私は聡の彼女を辞めると決めた。

もう過去は振り返らない。
暫く恋はしない。

そんなことを思っていたら、ふとある事を思い出した。

そうだ!私、それを叶えるためにこの学校受検したんだっけ。

じゃ、目標は決まったよね?

そう決めたら、少しだけ心が浮上した。

その後、何食わぬ顔で友達会い、映画を見たりショッピングをしたりした私達は、また明日ねぇ〜と言って別れた。


私はその夜、スマホの聡との電話の履歴と電話番号を全て消去し、メッセージアプリをブロック。
同時に自分のメアドもアプリのアカウントも変更した。

きっと聡は気づかない。だって彼から今まで一度も連絡はなかった。これからだって何かあるわけないのだから…

私は親しい友達だけに、新しいメアドと一緒に、メッセージアプリのアカウント変更と、聡には内緒で決別するという内容を送った。

次々に 了解!という言葉に、最近の聡との付き合いに悩んでいた私を知っている友達から今まで我慢した事への労いの返信が来た。

送った件数と返信の数が同じになったのを確認する。

その夜スマホの電源を落とし、熱いお風呂に入って気持ちを落ち着けた後、私は布団の中で誓いの言葉を呟きながら、ゆっくりと瞼を閉じ夢の世界へと落ちて行った。

『鳴らない電話を抱きしめて寝るのは、もう辞めた』
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