キミに伝えたい言葉がある



次の日の朝。
俺はいつも通りに家を出た。
季節は秋からゆっくりと冬へと近づいてきていて、制服も半袖から長袖に衣替えになった。
通学路を歩いていると、莉桜菜の姿が見えてきた。
一日会っていないだけなのになんだか1週間ぶりぐらいにその姿を見る気がしてしまった。


「莉桜菜」
「あ、真司君おはよー」


名前を呼ぶと、莉桜菜は俺の方を見て笑みを浮かべる。
その表情はいつもの莉桜菜・・・よりすこし元気がないように見えた。


「おはよう」
「昨日はありがとう」
「いや・・・」


昨日のラインを思い出して、俺は照れ隠しに莉桜菜の鞄を持った。


「あ、大丈夫だよ?」
「いいから、病み上がりなんだし」
「ふふ、ありがと」


2人並んで通学路を歩く。
隣に感じる気配が心地よく感じる。


「昨日、なにか変わったことあった?」
「いや?特にいつもどおりの授業だった」
「結構進んだよね?」
「んーそうでもない。あとで見せてやるから」
「助かるー」


昨日のことを話しながら、俺は莉桜菜の様子を注意深く感じる。
病み上がりだからまだ100%の元気がない。
それだけだと思うのに、心のどこかで何かが引っかかった。


「あ、ねぇまだ時間ある?」


時間を聞かれて俺は自分の腕につけている腕時計を見た。
まだ、授業が始まるまで30分位ある。


「時間あるけど?」
「じゃあさ、公園行きたいんだけどいい?」


莉桜菜の申し出に、俺は別に拒否する理由もなかったので頷いた。


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