キミに伝えたい言葉がある



自転車を持ってきて、跨ぐとその後ろに莉桜菜も跨がって、俺に抱きついた。
服越しに、温もりが伝わってくる。


「しっかり捕まっていろよ」
「はーい」
「・・・ちなみに、どこに行くんだ」
「この街一番大きなショッピングモール!」
「了解」


俺は、莉桜菜が振り払われないようにゆっくりと漕ぎ始めた。
2人乗っているというのに、1人乗りのように重さが感じられない。


時折、後ろにちゃんと莉桜菜がいるか確認しながら進む。
天が味方してくれているのか、思ったより寒くはなかった。
20分くらい自転車を走らせて、ショッピングモールにたどり着いた。
自転車置き場に止めて、2人降りる。


「とうちゃーく」
「早く中はいるぞ」


中は、きっと暖かいだろう。
早く莉桜菜に暖を取りたかった。


「真司君」
「なんだ?」
「ん」


莉桜菜は、立ったまま片手を俺の方に出してきた。
何の意味か分からず首を傾けると、「手!」と言われた。


「手?」
「手、つないで」

「は?」


手を繋ぐ?そんなハードルの高いこと、出来るわけないだろう。
断ろうとしたが、莉桜菜の方が上手だ。


「もしかしたら、倒れちゃうかもー」
「・・・・ほら、」


そんなことを言われたら、手を繋ぐしかないじゃないか。


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