キミに伝えたい言葉がある



「へへっ」


莉桜菜は嬉しそうに俺と手を繋いだ。
しっかりと繋いで俺たちはショッピングモールの中に入った。
まだ、午前中のしかも平日だ。
人はそんなにいない。


「どこか行きたいとこでもあるのか?」
「とりあえずぶらぶらしよー」


手を軽く揺らしながら俺たちは歩いた。
一階をぐるりと回って、二階に移動する。
一階に比べると専門店がたくさんあるので、莉桜菜は一店舗ずつ物珍しそうに眺めた。


雑貨に、服屋に、手に取って合わせたりしているが、購入するまではいかない。


「買わないのか?」
「んー、可愛いんだけど、ね」


買いたい、まではいかないようだ。
それからもグルグル回って、莉桜菜はある店で止まった。


「あ、ネイル」
「え?」
「私、ネイルしたい」


店を指さす莉桜菜に、そういえば、リストに書いてあったなと思い出す。


「どうぞ、行ってらっしゃい」
「やった!」


莉桜菜は、俺の手から離れると、ネイルの店に入っていった。
こういうところって予約しなくても大丈夫なのだろうか。
俺は、店の前にある休憩するための椅子に腰掛けて、ショッピングモールの周りを見渡す。
平日のこんな時間にいるなんて、学校の連中が見たら何というか。


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