perverse
とはいえ、この雰囲気、何とかならないものだろうか?
かといって、私の立場では何もできない。チラッと横にいる宙さんを見てみると、知らんぷり

「真寛さん…」
言葉を発したのはお父さん
嫁は他人事のように無視している

「あなたは翔と結婚して家庭を築いていて子供もいる。先ほどの発言は家族の前で発言してはいけない言葉じゃないのか?」

嫁は無言

「確か4年前、私達が結婚を反対したにも関わらず強引に結婚を迫ったのは真寛さん、あなただったよね」
「そんな昔のことなんか、忘れてしまったわ」
「そうですか。では何で翔と結婚したんですか?それぐらいはさすがの貴方も覚えていますよね?」

嫁の表情がまた固まる。この人は自分の都合が悪いと思うと黙ってしまう習性があるのか?
人間というより猛獣に近いなって思う私。失礼だとは思うけど、同情は絶対しない。

「もし、貴方が翔との結婚を先ほど言われたように後悔されていたり、翔よりも他の方が良いと私達家族の前で翔に対して失礼なことを言われるのでしたら、私にもも覚悟があります。わかりますか?」
「覚悟?」

いつもはあまり話に入ったりしない傍観者的存在だけど、敵に回すのは怖いなってこの時初めて思った

「私は息子である翔を守ること」
ゴクンと唾を飲み込む私。それぐらい、本気の空気が伝わる

「貴方は傍若無人に翔の事をけなしますが度が過ぎてます。そんなに嫌な相手なら、他に思う人がいるのなら私達はそちらに行かれても文句は言いませんよ」
お母さんが隣でウンウンと頷く

翔はお父さんの言葉に驚いているのか、固まっているが涙が止まっている
嫁は両手の拳を握りしめていた
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