perverse

「貴方は妻子持ちで社会的責任を負ってるの。わかる？」
説教じみた事を言う。取りあえず丸め込んで、ここから去りたい

私の意外な言葉で、翔は固まってしまう

「子供もいるのに安易に別れるなんて口に出さないで」
「父さんは別れて良いって言ってたよ。この前、美波も聞いてたでしょ？」

それは嫁が私に攻撃しないように、お父さんがワザと牽制しただけなのに。翔は気づかないの？あっ、そうだ昔から自己中だったっけ

この4年間、私の中にいた翔は美化されすぎていていた。現実に気づく
私自身、後悔と自責の念で悲劇のヒロインだったから妄想しすぎだったのかもしれない

この4年間、引きずっていた私。今や後悔しかない
私の思い込みに虫酸が走る

「私を捨ててまで結婚して築いた家庭でしょ？そんな簡単に捨てるなんて言わないで」

私の言葉に反応する翔
ふるふる震えていた

「俺は今も昔もずっと美波が好きだ。結婚は真寛に嵌められた」
泣きながら言う翔

わかってる？今更そんなこと言ってももう遅い。4年前に言ってくれたら何とかなったかもしれないけど
でも今、優しく言っても解決しない

「もう戻れない。私は宙さんと結婚する。別れることは決してない」
「それが嫌なんだよ。何で兄ちゃんなんだ？」

やっぱりそう来るか
宙さんの事を言われるのは覚悟していたけど

私が反対の立場だったとしてもそう思う
でも私の人生翔には振り回されたくない！
私の人生、私が決める！

「貴方が私の事をとやかく言う筋合いはないと思います」

もし私がこの4年間、現実を見て彼を引きずってなかったら、たぶん私はあなた同様家庭を築いて平凡だけど幸せな生活を送っていたはずだ

4年前、私の気持ちを踏みにじったのに今も