perverse
1 出会い
午前7時35分
7月のいつもと変わらない朝
通勤中、駅に向かう私

「やばい、41分の急行に間に合わないかも・・・」

この電車に乗り遅れると、遅刻になってしまう。私は小走りで、焦りながら駅に向かう

汗は感じられないが、久しぶりに走ったせいだろうか、心臓の鼓動がやけに早い

駅の改札口からはダッシュ

エレベーターは行列なので断念し、階段を小走りで上る

ゴールにあたるホームには満員の急行電車が到着し、行列の人たちが押し込められていく。ハアハア言いながら私も10㎝ぐらいしかない扉付近のスペースに無事駆け込んだ

プシュー

電車の扉が閉まる音が耳に入る
間に合った安堵感と、満員電車特有の空気の薄さ。まだ落ち着かない心臓の鼓動
蒸し暑い空間

ドキドキドキドキ・・・

体中の血液が心臓に集中しているのがわかるぐらい、動悸が体中に響き渡る。それと同時に体中の血液がなくなったかのように、顔面から血色が失っていくのを感じる。そして耳鳴り。私の目に映っているものは、いつもより明るい視界。なぜかコマ送りで動いていている。

やばい、貧血だ・・・

私が降りる駅はあと二駅。もつだろうか?

あと10分ぐらい・・・

私は身動きできないこの空間で電車の扉を背もたれにして、とりあえずしゃがみこんだ
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