perverse
「本当にすいません・・・」

と心の中で呟きながら周囲の冷たい視線の中、申し訳ない気持ちはいっぱいあるけど背に腹はかえられない

しゃがみこんだら、少し楽になった。

次の駅まであと5分くらい。とりあえずこのままでいよう・・・と思った時

「美波ちゃん、大丈夫?」

私から1メートルぐらい離れた座席から、聞き覚えのある声が・・・

声の主が立ち上がり、人波をかき分け私のほうに向かってくる。そして私を介抱するように座席に連れて行った。

いつもより明るい視界で見たその人は

元彼の兄、宙(はるか)さんだった。

彼は私の前に立ち、心配そうに私を見守っている。

「体調悪いの?」
「・・・たぶん貧血です・・・。」
「・・・・・・・」
「少し、落ち着いたら治ると思います・・・。」
「わかった。何かあったら言って・・・」

彼は心配そうに私に微笑みかける

私は恥ずかしくて、俯くしかなかった

座席に座って落ち着いたせいか、次の駅に着いた頃には血色も元に戻っていた。

私は宙さんに

「だいぶ良くなりました。ありがとうございます。次降りる駅なので・・・」
「わかった。良くなって、安心した。お大事に・・・」

私に向かって優しい表情をしてくれる宙さんに会釈して、私はその次の駅で降り職場に向かった。










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