perverse
22喧嘩
翌日、仕事が終わり宙さんのマンションに向う
いつもだったらメールや電話をするんだけど今日は気が乗らないのであえてしない
実家に帰りたいというのが私の本心
でも私の為に心配してくれている宙さんを無視することはできない
寝たら治ると思っていた宙さんに対するモヤモヤもほんの少しは改善されたけど、本調子じゃない
憂鬱な気持ちを抑えてスーパーに立ち寄り夕食の買い物
気が乗らない
適当に見繕ってカゴに入れ、気が重いけど宙さんのマンションに向う
今日の宙さんは当直明けで昼から大学に行くと言っていた
大学には院長の娘がいるのかもしれない
たぶん、私の気が晴れないのはこのせいだと思う

宙さんと再会してもうすぐ2ケ月
私が27年間生きてきた中で激動の2ケ月となった
あまりにも環境が変わりすぎて私自身がついていけない
心と身体が今までと違う動きをしているのがよくわかる

確かにこの2日間の衝撃は非常に強く私にはキツかった
私と宙さんの元カレ、元カノが強引に現れてきたのだから

4年前もウエディングドレスを試着してから数週間後に翔を略奪されたことを思い出す
今回もそれと同じ事が起きるのではないかという不安があるのは確かだ

部屋に到着すると宙さんは不在
もしかしたら連絡があったのかもしれないと思い、スマホを確認
【メッセージあり】の表示
30分程前のもので【今日は大学の人と食事に行くので遅くなる】という内容だった
普段だったら全く気にしない私なのに【大学の人】という言葉に反応し、嫌な気持ちが込み上げてくる
思い出すのは一昨日見た彼女の顔
私のことを宙さんに相応しくないと言った、あの勝ち誇った表情
今日は彼女と一緒にいるの?
可能性はゼロではない
もしかしたら強引だったあの姿を思い出すとやりかねない

4年前の翔も強引に略奪
今回もって思ってしまうと胸の動悸が高まり、不安の波に飲まれそうになる
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